第2章 出会う。
「お姉さん、これからヒマですか?」
急に男が言った。
何、ナンパだったの?
こんな女を?
いや、こんな女だからこそ、簡単だと思われたのか?
色々思考がめぐり、黙っていると、
「あ、いや、ナンパとかじゃなくて!いや、あれ、でもナンパになるのかな?
いや、でもそういう怪しいんじゃなくて、ただ単に、一緒に遊びたいなって。」
と、顔を横にぶんぶん振りながら男は言った。
「・・・何して遊ぶんですか?知らないトコ行くのは嫌です。」
と、ジト目で言うと、男はパッと表情を明るくし、言った。
「よし、じゃあボウリングしよう!」
と言って私の手をとり、ちょうど来た電車に飛び乗った。
電車の中では、
ボウリングってやります?
オレボウリング結構得意なんですよねー。
と、今までのボウリング武勇伝を語られていた。
3駅ほど乗ったところで、また手を引かれ、電車を降りた。
時刻は夜中1時。今からじゃ家までの終電に間に合わない。
酒も入っていたので、もうヤケクソだ!と迷っていた心を吹っ切る。
こうなったらこの知らない男と一晩過ごしてやる!
駅を出たところで、男は急に立ち止まった。
「ところで、名前教えてもらっていいですか?」
「・・・ゆり」
「ゆりさんね。俺は宏光。よろしく!」
と笑顔で言った。
ひろみつ、か。
笑うと本当に幼い顔になるんだなぁ。