第2章 冷たい胸に火が灯る
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紫獅塔にあるジャーファルの部屋。王とそれに近しいもの達の居住区画であるここは、出入りできるものがごく限られている。#NAME1#も、ここへ足を踏み入れるのは初めてだった。
「先、シャワー浴びてきます?」
ジャーファルにそう言われて、自室にシャワーなどなく普段は大浴場を使っている#NAME1#は目を白黒させてしまう。八人将ともなるとやはり部屋の作りから違うのだ。
「あ、#NAME1#の部屋にはないんだったね。使い方分かるかな…なんなら、一緒に入ってもいいけど」
「ええっ!?」
確かにこの後裸は見られてしまうのかもしれないが、でもやはりその前に心の準備くらいは欲しい#NAME1#は非常に驚いてしまう。と、いうよりもだ。
「あの、ジャーファル様。抱いてくださいと言ったのは私ですが、少しお休みにならなくて大丈夫ですか?」
そう。ジャーファルは三徹で仕事をして目の下には立派な隈を作っているのだ。少し休んでからの方がいいのではないかと思ったのだが、
「大丈夫だよ、仕事のあと娼館でいっぱつ出してから寝ようと思ってたくらいなので」
クスクス笑いながらジャーファルはクーフィーヤを頭から外し壁の突起にかける。発言がなんともおっさん臭いのだが、以前シンドバッドが「ジャーファルはたまにおっさんくさい」と言っていたのを思い出した。それも含めて好きなのだから、問題は無い。
「そう、ですか。あの、でしたら1人で入らせてください。心の準備をしたい、ので」
「ええ、構いませんよ。使い方を教えるね」
そのあとジャーファルにシャワーの使い方を教えてもらい、心を落ち着かせながらシャワーを終えた。