第2章 冷たい胸に火が灯る
「ジャーファル様!待ってください!」
「#NAME1#?」
ジャーファルの腕を掴んで引き止める。ジャーファルは少し驚いた様子だったが、#NAME1#がゼェハァと体力のない人間の呼吸をしているのを見ると、背中を優しくさすってくれた。
「あっ、の!ジャーファルさま、娼館には行かないで、ください…私、ジャーファル様が娼館に行くの、嫌なんです!」
「へ…」
ジャーファルが間の抜けた声とともに目を丸くしているが、ここで止まれるはずもない。
「どういう事をする場所か、理解しています。ジャーファル様だって男の方ですから、そういうこと、をしないといけないのも分かっているつもりです!私に口を出す権利が無いことも重々承知しております!」
両手でジャーファルの袖をギュッと掴んで、顔を赤くしながら#NAME1#は尚も続ける。
「ですが、ですが…!私、わたし…ジャーファル様のことが好きなんです。ずっと、もうずっとジャーファル様のことをお慕いしております。わ、私じゃダメですか?身体だけの関係でも構いません!ジャーファル様が、他の女性を抱いているの、いやなんです…」
#NAME1#は今にも泣き出しそうな、いや、もう既に目尻に涙を溜めてジャーファルの返答を待った。何と言われるだろう。性に淫らだと思われるだろうか。
ジャーファルは目を見開いて固まっていたが、
「す、き…って…」
不意に唇をわななかせて、それだけを吐いた。#NAME1#は「え…?」と目を開いた瞬間、ジャーファルの腕の中に閉じ込められていた。