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【マギ/ジャーファル】冷たい胸に火が灯る

第1章 繁忙期


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就業の鐘が鳴り響き、仕事を終えた武官たちや侍女達の声で辺りがザワザワと賑やかになっても、白羊塔の文官達は黙々と仕事をしていた。

あっちこっちに書簡を届け、持ち帰る。日時計が夜の8時を示そうとした頃、ジャーファルの右腕であるピピリカが書簡を持って帰ってきた。ジャーファルはそれら全てに目を通し始める。

#NAME1#も書簡をそれぞれ分けて置いて行く。貿易、赤蟹塔、黒秤塔……と分けていき、分け終わった後はジャーファルのために珈琲を入れる。

そして夜9時。

「終わった…」

ぽつりと聞こえた声に全員がハッと耳を澄ます。

「終わりましたー!」

ジャーファル様の最後の確認が終わり、その声で白羊塔にいた文官達全員がうおーー!!!と歓喜に湧いた。繁忙期で溜まりに溜まった案件を、ほとんどの文官達が寝ずの作業で何とか終わらせた。皆口々にお疲れ様、よく頑張ったと互いを褒め讃えた。

「ジャーファル様、お疲れ様でした」

#NAME1#は淹れたてのコーヒーをジャーファルの机に起きながら労いの言葉をかける。ジャーファルはそれに手をかけ、ひとくち口に含んで喉を潤してから

「ありがとう、#NAME1#もよく頑張ったね。お疲れ様」

と隈の残る目元を緩めて微笑んだ。そして、ジャーファルはコーヒーを飲み干すと、席を立った。

(そうだ、ジャーファル様はこの後娼館にシャルルカンと共に行くんだ)

思い出してしまうと、どうにも胸の奥がチクチクと痛んで。白羊塔を後にしたジャーファルを、気が付けば走って追いかけていた。
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