第1章 繁忙期
「#NAME1#、こちらとこちらの書簡を王に届けて貰えますか」
不意にジャーファルに名を呼ばれ、悶々と頭を悩ませていた#NAME1#は、ハッとして頭をブンブンと振る。今は仕事中だ。余計なことを考えていてはジャーファルに怒られてしまう。
「どうしました?どこか具合でも?」
ジャーファルの机に近付いて、書簡を受け取る際にジャーファルにそう問われる。
繁忙期だと言うのに22時には上がらせてもらって睡眠もしっかり取っている#NAME1#と比べ、自室へ戻っても残りの案件を片付けて一睡もしていないジャーファルの方が、余程見た目からしても具合が悪そうだ。だと言うのに、ジャーファルは他人の体調ばかり気遣っている。
#NAME1#はジャーファルのそういうところが好きだった。
「いいえ、大丈夫ですよ。それではジャーファル様、行ってまいります」
「ええ、頼みますよ。もし王がサボっていたら刺して構いません」
了解しました。と答えてから、王を刺していいとはどういう事だと一瞬考えるが、考えるだけ無駄であると悟る。
「ピピリカはこちらの書簡を赤蟹塔のドラコーン殿に渡してください」
「了解です」
白羊塔を出る際に「はい、シャルルカンとピスティはもう帰りなさい」「じゃーまた夜に迎えに来ますからねジャーファルさん」「はいはい私は忙しいんですから早く帰れ」とジャーファルとシャルルカンのやり取りが聞こえ、#NAME1#の胸は少し重くなった。