第2章 冷たい胸に火が灯る
「はぁっ、はぁっ、ジャーファル様が…私の中に…うれ、しい…幸せですジャーファル様」
瞳をうるませたまま#NAME1#が微笑み、ジャーファルはドキッと胸が鳴る。
嬉しいのは自分の方だとジャーファルは思う。ジャーファル自身はこの行為を好きな人以外としたくないのが本音だ。娼館で娼婦相手に腰を振っても虚しいだけ。何も生まれない。ジャーファルの好きな人は、5年前から#NAME1#だった。文官の試験を受けて成績上位で受かり、弱音も吐かずに自分についてくる。真面目に仕事をし、シンドリアを愛している。そんな#NAME1#を、ジャーファルはいつの間にか好きになっていた。
いつか、#NAME1#に思いを伝えられたら。
そう思ってから5年も経って、先に#NAME1#から思いを告げられてしまった。
「#NAME1#。…ありがとう、ございます。私を好きだと言ってくれて。私は、知っての通り元暗殺者で、たくさんの人をこの手で殺めました。だから、怖かった。貴女に想いを伝えるのが。でも、こんな私でも。貴女と幸せになっていいんでしょうか」
ジャーファルが震えながら、#NAME1#を抱きしめる。#NAME1#には、ジャーファルの葛藤がどれほどのものか図り知ることは出来ない。
でも、これだけは。
これだけは伝えなくてはいけないと、#NAME1#はジャーファルを抱きしめ返す。