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Fleeting promise【魔法使いの約束】

第2章 運命を持たぬ者




食堂に戻ってくると、丁度兄が賢者の書を手にして座り込んだところだった。駆け寄って隣に腰掛けると私にも見やすいように本を寄せてくれた。



「国によって人となりが違うって、私たちの世界と似ているのね」

「確かにそうだね。やっぱり土地柄ってのがあるのかな」



賢者の書を開くと、前の賢者が書いた魔法使いたちのことが色々と記されていた。

聞いていた通り、賢者の魔法使いは東西南北中央から4人ずつ集まってくる。選ぶのは賢者の意志とはなんら関係なく、ただ自然的な力で決まるようだ。

そして魔法使いは国によって性格に特徴があり、出身地がそれに当たるとは限らず、長く住むことでその土地の気質が身につき、その国の魔法使いとなることもあるらしい。



「……ある意味、国籍みたいなものかな」

「例えが変わってるね、茜……」

「?」



思ったことをそう口にすれば兄が苦笑した。あながち間違いでもないとは思うよ、と付け加えて彼はページをめくっていく。


「えーと、"中央の魔法使いは正義感が強い。仲間思いで、嫌な仕事も進んでやってくれる、リーダ気質。"だって」

「カインは確か中央だったよね?あとオズさんもそうだった気がするけど……」

「カインは分かる気がする。まさしく騎士ってところが特に」

「"東の魔法使いは基本的に人嫌い。心閉じ気味。一人が好き。根は真面目。懐くと可愛い。怒らせると一生根に持つ。"……結構面倒くさい性格みたいね……」

「ヒースクリフとファウストだ。うん、何となくそれっぽい。"西の魔法使いは気分屋で気まぐれ。話が通じない。マイペース。お祭り好き。変なやつが多い。"」

「ムルさんとシャイロックさんね。"南の魔法使いは優しくて親切。ほのぼの癒し系。人助けが好き。魔力は弱いのに人を庇うから心配……"」

「そういえばまだ会ってないね……」

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