第6章 *鬼
:「どうして…どうして童磨はあの時私を食べなかったの?」
童:「分からないな。よく覚えてないや。」
分かっていた。覚えていた。忘れられるはずがない。初めてを見た時、感謝された時、自分が生まれてきてから感じたことのないときめきを胸に感じたのだから。
:「じゃあ、カナエさんを殺した時は?どうして私を襲って来なかったの?」
童:「あの子カナエちゃんて言うんだ!もちろん、そっちの子にしか目がいかなかったからだよ。強かったからね。」
:「その時、私を捕らえろって命令を受けてたんでしょ?なんで、カナエさんも殺したのに、私のこと捕らえなかったの?」
童:「どうしてそんなに気になるの?もしかして、俺のこと好きになっちゃった?」
童磨はそうであって欲しいと淡い期待を抱きながらにっこりと笑って尋ねた。
:「…戸惑うから…悩むから…やめてほしい…」
童:「え?」
:「童磨は鬼、私は鬼殺隊。今は私も鬼だけど。私は鬼を斬らなきゃいけないのに、童磨がいつも私を救ってくれるから、私は童磨を斬れない。だけど童磨は私の周りの人の命は平気で奪う。私もそれを怒るべきなのに…戸惑ってばかりで、何もできない…。困るの…悩むの…。」
童:「それって俺のことで悩んでくれてたってこと?」
:「え?」
童:「俺がしたことで悩んで困ってたんでしょ?」
:「そうだけど…」
童:「嬉しいよ!俺!の頭の片隅にずっといれたなんて!そうだ!が目を覚ましたら無惨様のとこに連れて行くよう言われてたんだ!行こう!」
は手を引かれ無惨のところへと連れて行かれた。