第6章 *鬼
無:「その通りだ、童磨。人間ならお前の素性を知りながらお前のことを想うものなど誰もいない。だが鬼なら話は別だ。違うか?」
無惨の言うことは鬼たちの中では絶対だ。童磨は頷くことしかできなかった。
:「いやっ…助けてっ…ゲボッ!童磨っ…!」
童磨は自分の名を呼び、助けを求めたを見て動揺した。だが
無:「無駄だ。」
無惨はそう言うと、に血を送り込んだ。
:「いやあぁぁぁぁぁ!」
しばらくするとは目を覚ました。
:「うぅ…あれ?痛くない…。はっ!ここはどこ!?」
童:「起きたんだね、。ここは俺の本殿だよ。体はどう?」
:「体…私…鬼に…」
は絶望し、涙した。自分が鬼になってしまったことにも、もう二度と自分を大事にしてくれた者たちと笑い合えないことを。
童:「、もしかして、人間の頃の記憶、まだあるの?」
:「…」
は静かに泣きながら、黙って頷いた。
童:「そっか。」
童磨は嬉しいような悲しいような気持ちになった。
童:(人間の時の記憶があるなら、恐らく無惨様の支配を完全には受けていない。が自我を保てる可能性は十分にある。完全に堕ちていないことには希望を持てるかもしれない。でも、てことはあいつらの記憶もまだある。自分では気づいていないけど、はきっとあの傷だらけの男が好きだった。本当に堕ちてしまえば、俺の方を振り向いてくれるのかな?戻る場所がなくなったなら、俺のことを見てくれるかな?)
童磨は今はとりあえず何も言わないことにした。
童:「だから見つからないように言ったのに。俺は忠告したのにさ。」
:「鬼殺隊として活躍する以上、鬼との出会いは避けられない。…童磨。」
童:「なに?」