第6章 *鬼
無惨の前に、猗窩座がを連れてやってきた。
猗:「無惨様、無惨様が仰っていた娘を連れて参りました。」
無:「でかしたぞ、猗窩座。鳴女。」
無惨がそう声をかけると、琵琶が鳴り、上弦の鬼たちが無限城へと集められた。
無:「頭を垂れて蹲え。平伏せよ。」
上弦の鬼たちはすぐさま平伏した。
無:「猗窩座が、彩色の娘を見つけた。」
無惨がそう言葉を発した瞬間、童磨の顔色が変わった。
無:「どうした、童磨、わざわざ逃した娘が捕まり、動揺しているのか?」
童:「まさか!そんなことございません!無惨様も人聞きが悪いなぁ!わざわざ逃しただなんて!」
童磨は頭を下げたままそう言った。
そして無惨が襟元を掴み、引き摺られていたは目を覚ました。
:「うっ…ここはっ…ゲホッ!かはっ!」
は言葉を発そうとした瞬間、内臓が傷ついていたため、吐血した。
無:「貴様、誰が血を吐いて良いといった?我が城が汚れる。」
無惨は手を離し、鬼たちの前に投げた。
ドンッ!
:「グハッ!あっ…」
は状況を把握する前にうずくまってしまった。
童磨は、顔を上げたくてたまらなかった。すぐさまに駆け寄ってやりたかった。だが、無惨の視線がそれを許さない。
黒:「無惨様、私にはこの女子は普通の女子に思えます。なぜ捕らえよとの命を?」
無:「今は目が潰れ、口元も血に濡れているため分からぬが、稀に見る顔の整いよう。痛みを感じぬ体。それでいて猗窩座をも押す強さ。これに関しては猗窩座が落ちぶれただけかもしれぬが。明らかに普通ではない。私は鬼の素質があると見た。」
童:「彼女を鬼にするのですか?」
無:「今の説明で分かるだろう。お前も愚弄していた人間と同じくらい愚かだな。」
:「いやだっ…鬼になんてっ…ゲホッ!なりたく…ない…カハッ!」
無:「お前の意思など聞いていない。」
童磨は考えていた。
童:(が鬼になりたくないのなら、させたくない。だけど…もしが鬼になったら?俺と一緒にいる理由ができる。ずっとそばに置くことができる…琴葉の時みたいに、幻滅されることもない。ん?俺はなんで…あぁ、そうか…に恋してるのかも…)