第10章 最終章 最後の歌
*シンドバッド目線*
馬鹿な。
俺は驚愕していた。
マスルールは勝った。しかし、ヤムライハ、ピスティ、シャルルカンはボロボロになって倒れている。
そんなにも相手は、強かったのか・・・・・・
俺の前にはサリとシャナがいた。
二人共可愛らしい容姿をしているのに、何やら怒っているようで表情は硬かった。
「シトセル・・・何やってるのかしらね。あんだけ調子乗っといて負けてるんだから!」
「サリ・・・しょうがないよ、相手は、ファナリス」
この二人は以前ジャーファルとミルカを襲った二人だと聞いたが、王の俺を前にして戦闘体勢になっていないし、
それどころか俺を無視しかけてやがる。
「お嬢さん方、俺と戦う気はないのかな?」
あえて聞いてみると、サリが返事を返してきた。
「あら、あるに決まってるじゃない。でもね、あんたは殺したくないの。出来れば利用したいのよね~」
七海の覇王と呼ばれている俺を、余裕で倒せると言いたげな彼女は、何やら企んでいるような笑みをたたえていた。
「悪いが、俺たちの国に入る悪しき者たちは、排除させてもらうよ・・・・・・我が身に宿れ、フォカロル!」
魔装をすると、あちらも流石に戦ってくれる気になったらしい。
国の内部なので魔法を使いにくいが、上手く誘導してみよう。
俺は脳内で作戦を立て、空へと舞い上がった。