第7章 操り人形
「目的はねえ・・・話すと少し長くなるわね。サリとシャナから聞いたのよ、あの日の出来事。この子のネックレスには、おそらく膨大な魔力が入っている。それを利用するため彼女たちが奪還作戦に向かい、一度は手にとった。
なのにどうしてかしらね。ネックレスは反応しなかったの。
それを聞いた私は、このネックレスの持ち主が鍵なんじゃないのかなって思ったの。だから彼女の意識を沈めて、身体を奪ってやったの。丁度良かったわ。色々あって好都合なの」
「何故だ」
「まあまあ、そんなに怒らないでよ王様。教えてあげるから!
あたしたちはね、ここに来る前は”アル・サーメン”の下っ端だったの。でもある日、脱退するように命じられた。『お前たちは完全に堕天していないし出来損ないだから』って。
完全に堕天しないからこそってこともあるのに、馬鹿よねあいつら。
だからあいつらにあたし達の実力を見せつけてやるために、この子を使って”儀式”をするの!ネックレスの魔力を解放させた後、ジュウト兄さんの魔法でこの子を生贄にして、この国を消滅させる儀式。成功するかはわからないけれど、ネックレスだけでもあれば十分だしね。あっはははははは!!」
彼女が笑いだしたと同時に、私は彼女の服を掴み首筋に眷属器をかざした。
しかしそれは、ミルカの身体。傷つける訳にはいかないのにそうした自分にすぐに腹が立ち、涙が溢れてくる。
「おバカな政務官様・・・そんなにその子を助けてほしいの?」
当たり前だ、と私の口から低い声が出た。
「そういう人の心よ。私が壊したくなるものは」
彼女はそう言ってその手で私の首を絞めた。