第6章 悪夢の中の貴方
(・・・ここは・・・・・・何処?)
意識が落ちた筈の私は、いつの間にか暗い闇の世界に一人で立っていた。
本当に真っ暗で、前も後ろも右も左も分からない。ここが夢の中の世界なのかどうかも怪しく思えるくらいだ。
(怖い・・・ジャーファルさん、何処・・・)
私は急に突きつけられた恐怖心から逃れるべく、彼を想いながら探し回った。
前に進んでいるのか、曲がっているのか。それとも、戻っているのか。もう分からない。
ただひたすらに足を動かしていると、遠くの方に小さく光が見えた。
もしかして、ジャーファルさん?
私は走った。早く、早く、彼に会いたい。
しかし、そこにいたのは・・・・・・
ジャーファルさんに少し似た、白銀の髪色の小さな男の子だった。
口元にはボロボロの包帯が巻かれており、服は赤黒い染みや土で汚れていた。
でも・・・何故だろう。彼ではなかったのに、この子が気になってしょうがない。この子が彼だと思えてしまう。何故?
「当たり前じゃない。その子はあんたの大好きな”彼”なんだから」