第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
「若女将が私とおんなじ顔をされているので驚かないでくださいね!」
桜が楽しそうな顔をすると千寿郎は目を大きくさせて事情を知っているであろう杏寿郎を見る。
杏寿郎は桜の笑顔に違和感を覚えながらも千寿郎の頭を撫でた。
杏「あまり似ていないと思うが。………そしてあれはやり過ぎなのではないか?」
杏寿郎が見つめる先では報せを受けた一ノ瀬屋の従業員がほぼ総出で出迎えようとしていた。
それを見て槇寿郎は露骨に嫌そうな顔をする。
「ユキ!来たよ!」
桜がそう小声で言うとすぐに塀を飛び越えてユキが出てくる。
ユ『すまない。あの歓迎はやめるように言ったのだが勇重を慕う者も水琴と頼勇を慕う者も山程いる。槇寿郎と杏寿郎はその恩人だろう。一人付いて行くと言ったらあっと言う間に収拾がつかなくなった。』
本物の癒猫様を目の前に槇寿郎と千寿郎は固まった。
杏「俺と桜で話をつけてこよう。桜。」
そう言いながら杏寿郎が手を差し出すと桜は嬉しそうに微笑みながらその手を握った。
その恥ずかしがらない桜の後ろ姿を見て千寿郎は不思議そうに首を傾げた。