第38章 ※分かった事、煉獄家のお出掛け
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千「…………一ノ瀬家…桜さんの…ご先祖様のお家に…。」
千寿郎がそう小さい声で呟くと急いで朝餉を食べていた杏寿郎と桜は目を見合わせる。
杏「千寿郎も行くか!!」
「その方が槇寿郎さんへの視線も減るだろうし…良いと思います!その後泊まってもいいし…。」
そう言うと千寿郎は目を輝かせた。
それを見た杏寿郎は嬉しそうに微笑む。
杏「それにただの旅館じゃない、温泉旅館だ!露天風呂もあるらしいぞ!!」
千「温泉!!…お、お二人は…今夜は…その………、」
杏「俺も桜も今のところ指令は来ていない!今朝方までの任務は随分と盛り沢山だったのでな、恐らくお館様が配慮して下さったのだと思う。見廻りには行くがな!」
それを聞いて千寿郎は更に目を輝かせて嬉しそうな笑みを浮かべた。
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「……槇寿郎さん、やっぱり杏寿郎さんにおぶってもらった方が…、」
槇「そんな事をされるくらいなら俺はここで腹を切るぞ。」
桜の心底心配そうな顔を見ながら槇寿郎は眉を顰めた。
杏寿郎は案じるように首を傾げる桜の頭を撫でると槇寿郎に笑みを向ける。
杏「四人でゆっくり歩いて向かいましょう!ですが何時でも背中を貸しますのでご無理はなさらないで下さい!!」
槇「……………分かった。」
槇寿郎は言葉を返すだけ疲れるだけだと判断すると苦々しそうな顔をしたまま絞り出す様に低い声を出した。
その隣にいる千寿郎は不謹慎と思っている為か嬉しい気持ちを隠している様であったが、上がりそうになる口角をむずむずとさせている。
それを見て愛おしそうな笑みを浮かべている桜は新しい装いに身を包んでいた。