第36章 任務同行
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「着替えました…!」
そう言いながら襖を遠慮がちに開けると杏寿郎はまず露出がない事に目を大きくさせた。
杏「愛らしいな。だが足は大丈夫なのか。」
前「そちらも隊服と同じ繊維を織り込んだ生地で作ってあります。」
「わわ、そうなんだ…!ありがとうございます、前田さん!!」
そう言って桜が花咲く笑みを浮かべる。
前「いえ、私も新たな扉を開く事が出来たのでお礼を言わせて下さい。見えるか見えないか危うければ危うい程 女性の魅力は増すものだと思っていたのですが、桜様の笑顔を見た時に閃いたのです。全く露出させない事で逆に妄想が捗り 無限に夢が広が、」
杏「俺からも礼を言う!ありがとう!!君も残る仕事があるだろう!いつまでも引き止めていては悪い!玄関まで送ろう!!」
桜を早々と隣室へ避難させた杏寿郎は持論を話し続ける前田の背を押してなんとか門の外へ出した。
そして息をついて屋敷に戻ると ちょうど廊下で千寿郎を目の前に桜がくるんっと回転して隊服のお披露目をしていた。
杏「………気を付けなければな。」
二人を微笑ましそうに見つめながらも杏寿郎は低い声を出した。
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一方、前田が生還するかどうかの賭けをしていた縫製係一同は無事に帰ってきた前田を見て崩れ落ちた。
隠「まさかゲスメガネが一人勝ちするとはな……。」