第36章 任務同行
「ど、どうしよう…せっかく仕立ててくれたのに……。」
杏「気にする必要はない。彼女も想定内だった様だぞ。きちんと採寸してもらうと良い。」
杏寿郎の優しい声色と頭を撫でる手に桜は少し肩の力を抜いて頷いた。
―――
杏「では宜しく頼む!!」
「お願いします!あと…、」
桜は介抱もされず玄関で未だに倒れている前田に近寄る。
杏寿郎は少し体を揺らしたが桜が片手でしっかりと羽織りの前を閉じながら前田の頭を慈しむ様に撫でる姿を静かに見守った。
目を開けた前田に桜が困ったような笑みを浮かべると杏寿郎はぐいっと桜の手を引き横抱きにする。
杏「失礼する!!!」
「あっ………わぅ!!」
杏寿郎は桜が挨拶するより先に走り出した。
一方桜の笑顔を見てから固まっていた前田は小さな声で斎藤に話し掛ける。
前「頼む。彼女の隊服作りに関わらせてくれ。」
斎「あんたと話してる時 炎柱様すっごい殺気飛ばしてたの気が付かなかったの?」
―――
その翌々日、早くも仕上がった隊服を持ってなんと前田が一人で煉獄家へ訪ねてきた。