第36章 任務同行
杏寿郎が促すように笑顔で頷くと桜も頷いて隊服を手に取って広げた。
「杏寿郎さんの隊服と同じだ…!!」
二人がちゃんとした隊服に喜べば喜ぶほど、斎藤は気まずそうに眉を寄せる。
斎「あの…試着して頂けますか…?」
「……え……は、はい!!」
その声色から杏寿郎はハッとして再び隊服を見た。
―――
「…な…るほど……。」
縫製係の皆は前田の趣味はともかく腕と目は信頼していた。
それ故に早々と採寸を終えた前田の数字を元に桜の隊服を仕立ててしまったのだ。
「杏寿郎さん……。」
胸近くの釦を全て掛ける事が出来ず、桜はとうとう眉尻を下げて隣室の杏寿郎の名を呼んだ。
杏「どうした!!」
勢い良く部屋に入ってきた杏寿郎に驚いて桜が体を震わせると辛うじて掛ける事が出来ていた釦が飛ぶ。
それを見て桜は眉尻を下げに下げた。