第36章 任務同行
隠「いえ!何ともありません!!」
そう慌てる隠もまた女性であった。
(ちょっと怯え過ぎなんじゃ…。すぐに冷やさないと女性なのに跡になってしまう…。)
お茶を並べ終わったのを確認すると桜はまるで軟派な男がするかの様に女性の手を自然な動きで撫でた。
「ありがとうございます。」
触られた瞬間、女性は一度は首を傾げたが 桜の柔らかな温かい笑顔を見ると 目元以外を隠しているにも関わらずはっきりと判ってしまう程に顔を赤くする。
そしてペコペコとお辞儀をしてから慌てて部屋を出る女性を桜は微笑ましそうに見送った。
一方、それを見ていた杏寿郎は少し首を傾げる。
杏「舌を火傷した場合はどうするのだ。手で撫でなければならないのか?それとも、」
「手です!」
桜は手以外で試した事は無かったが、次の言葉を遮るように答えた。
そうして再び杏寿郎に翻弄されそうになった時、タイミング良く斎藤と名乗った女性が戻ってきた。
斎「おまたせ致しました!桜様の隊服は元々前田の担当ではなく 私を含めた数人で作っていたんです。」
(前田さんは一人で……?すごい情熱……。)
驚く桜の前に斎藤が隊服を差し出す。