第34章 緊急事態、柱合会議
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「……杏寿郎さん。」
杏「どうした!」
「いえ…、今日はあまり呼べてなかったので呼びたくなっちゃって…。」
そう言って杏寿郎の胸に顔を埋めると、反動から甘えたになっている桜の仕草に杏寿郎は頬を緩ませる。
杏「そうか!では家に着くまで好きなだけ呼んでくれ!!」
――――――
それから家に着き、出迎えた千寿郎を労い、夕餉を食べ、風呂に入るまではとても穏やかな時間を過ごした。
(今日は本当に疲れた…広い湯船に浸かれるお家に置かせてもらえるなんて本当に幸せだなあ…。)
そう思いながら桜は千寿郎と槇寿郎に就寝の挨拶を済ませ、すっかり一日が終わったような気持ちで離れへと向かった。
しかし、気を抜いて開けた寝室の襖の向こうには険しい顔つきの杏寿郎が腕を組み、立ったまま桜を待っていた。
「………あ…あの…、」
沈黙に耐えかねて桜が眉尻を下げると その困惑したような様子に杏寿郎は目を細める。
杏「あれを無かった事にするつもりか。それとも忘れたのか。」
そう問われて桜はやっと天元の行動を思い出した。