第33章 準備期間
ユ『…私は信仰がなくとも治療をして良い事になったが、信仰者は増やしたい。その分付いて行ける人数が増えたり、動ける範囲が広がったりするからね。それには姿を見せて目立てた方が良いと思うのだが…。』
そう言ってユキが桜に窺うような視線を遣って尻尾を揺らすと、桜はにこっと笑った。
「なるほどなるほど……うん、わかった!任務と鍛錬の時以外はユキが使って!そしたらまたユキの噂が鬼殺隊に流れるだろうから…たくさん治せると思うよ。頑張ろうね。」
そう言うとユキの悔しい気持ちを共有した事のある桜はユキの頬を努めて優しく撫でた。
杏寿郎はそれを目を細めて見つめると 元々桜が使っていた部屋へ荷物を回収しに行った。
―――
水「…れ………煉獄様…。いらっしゃいますか…?」
杏「ああ!入ってくれ!!」
布団を片して桜と杏寿郎とユキで会話していたところに水琴が訪ねてきた。
(………え…?)
桜が自身とあまりにも似た声に動揺していると 開いた襖の向こうにいた水琴もまた自身とそっくりな桜の顔を見て固まった。
バランサーのせいで外から聞こえる自身の声に過敏になっていた桜は無意識に杏寿郎の袖を掴む。