第33章 準備期間
杏(起こさなかった事を後で怒られるだろうな。)
女「煉獄様!」
廊下の数メートル先にいた仲居が杏寿郎に声を掛けると ほっとしたように息をつく。
女「奥さまから言伝が…。『是非会わせて欲しい、こちらから伺います。』との事でした。お時間は煉獄様に合わせると…。その…、とても必死なご様子でして…。」
杏「ありがとう。時間はなるべく早くだと助かると伝えて欲しい。」
そう言うと杏寿郎はまた部屋に戻り桜を布団に寝かせた。
ユ『結局寝てしまったのか。』
杏「うむ。…ユキはこれからどうするんだ。ここに留まり隊士の治療をするのか。とりあえずは煉獄家へ来ると良い。その姿は桜も必要としている。桜と話し合わねばならない事もあるだろう。」
ユ『私は煉獄家までは行けない。槇寿郎か千寿郎が信仰してくれれば良いのだが…。』
それを聞くと杏寿郎は目を大きくしてユキを振り返った。
杏「桜にも付いて行けないのか。」
ユ『ああ、特別ではあるが…関わりが深いのはこの体ではない。この体は裏山の私の神社からは離れにくい。槇寿郎達に掛け合ってくれ。』
杏「分かった。では今話すしかないな。桜!!すまないが起きてくれ!!」
大音量の目覚ましに桜は目を大きくしてすぐに飛び起きた。