第32章 ※ちぐはぐな心と体
避妊具の先に出来た膨らみと その分ずり下がっている様を見れば、杏寿郎の言う通り惨事の一歩手前であった事が分かった。
「ご、ごめんなさい…!すごい量……。」
杏「うむ!我慢していたのでな!!」
桜が上体を起こして処理をする様を見ようとすると背を向けていた杏寿郎は振り返って微笑んだ。
杏「それにしても君の笑顔は不思議な力を持っているな。すっかり毒気を抜かれてしまったぞ。あれ程自制に苦しんでいたというのに。」
「それは…杏寿郎さんが優しいから笑顔を見ただけで収められたのだと思います。」
ピンとこない点を褒める杏寿郎に桜が困ったような笑いを返すと 処理を終えた杏寿郎は再び向き直って優しく桜を抱き寄せた。
杏「俺は違うと思うがその言葉は有難く受け取っておこう!!」
頑固なのか素直なのか分からない言葉に桜が思わずくすくすと笑い出すと 杏寿郎は体を離して首を傾げる。
桜がそれに微笑み返すと杏寿郎も首を傾げたまま微笑み、暫く桜を見ながら頭を撫でた。
杏「君はやはり優しい愛し方が好きなのだろうか。」
その問いに桜が気まずそうに俯いて小さく頷くと 杏寿郎は少し残念そうに微笑んでから再び桜を抱き寄せる。