第32章 ※ちぐはぐな心と体
「あ、あんまり見ないでください…。」
杏「辱めるつもりはないぞ、安心してくれ。荒々しい気持ちは失せた。思う存分俺に甘えると良い。」
そう言うと掴んだ手首をそのまま布団に押し付け、優しく丁寧な口付けを繰り返しながら腰の動きを少し速めた。
桜はその甘い愛し方に幸福感から頭が痺れ、恥や臆病な心が溶けると杏寿郎が優しく押さえていた自身の腕を抜く。
それに杏寿郎が目を開くと桜は目を閉じたまま杏寿郎の首に腕を回し、柔らかい髪を撫でた。
何回か撫でたあと薄く目を開くと、杏寿郎を心底愛おしそうに見つめながら舌を優しく絡める。
それを受けると杏寿郎は耐えられず昂りを大きくさせ、桜の様子を見ながらも律動を速めていった。
杏「…ッ…桜…!今は桜も…心から気持ち良くなれているだろうか…!」
杏寿郎が快感に耐えて眉を寄せながらそう問うと、桜は幸せそうに微笑んだ。
「はい…ちゃんと……とっても気持ちいいです……!」
そう言って口付けをねだるように杏寿郎の頬を両手で包むと、杏寿郎も微笑んで甘く口付けた。
そのまま杏寿郎は桜の頭脇に肘をついて眉を顰めると一気に律動を速める。
桜は与えられ続ける強い快感に眉を寄せ、杏寿郎の背に腕を回すと耐えるようにぎゅっと目を瞑った。