第31章 ※歩み寄ること
(聞きたい事か…暴力のことだよね……。あと杏寿郎さんに私の気持ちを勘違いされた事についても話すって私が言った…。あとは…、)
そう思いながらも 絶えず杏寿郎達の無事を報せる胸の温かさに安心し、すっかり緊張の糸が切れた桜は掛け布団もかけずに こてんと横になってしまった。
しかし、布団に入っていなかった為か眠りが浅く 襖が開く音がするとすぐに覚醒した。
「…杏寿郎さん……任務、お疲れさまです……。」
桜はまだぼんやりしつつも 勝手に襖を開けるのは杏寿郎だけだと確信し、帰ってきてくれた事に安心して声を掛ける。
(起きれて良かった…。まだ胸が温かい。他の皆も無事なんだ…。)
桜は上体を起こすと招くように腕を伸ばした。
だが、壁に落ちた影の形に体をビクッと揺らす。
(背格好が杏寿郎さんじゃない………!)
「杏…んッ!!」
大きな声を出そうとした時、影の主であった頼勇が口を塞いだ。