第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
それを見て任務に付いて行けない自分を不甲斐なく感じて溜息をつくと 部屋が静まり返っていることに気が付く。
「…………ユ、ユキ…?」
不安になって震える声でそう呼ぶと、ユキは呆気なく押入れの襖から透ける事の出来る体で出てきた。
それを見て安心しながらも桜は首を傾げる。
「わざわざ体まで変えて…何してたの?」
そう問うと、ユキも不思議そうに首を傾げた。
ユ『桜と杏寿郎が子を作るような空気を出したからだよ。人はあのような時に邪魔をする事を野暮と言うのだろう?』
その思わぬ言葉に桜は思わず破顔した。
「ふふ、神様なのに面白い事言うねえ。」
ユ『桜の胸に居たからね、人の事は一通り分かると思うよ。それに私は正確にはもう神ではない。』
笑って聞いていたが、最後の言葉に桜は目を大きくさせる。
「あ……そうだ…私が信仰しなくなったから…。あれ?でも神様と変わらないような…体もあるし………。」
そう問うと、ユキも少し考えるように尻尾をゆらゆらと揺らした。