第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
その新事実に杏寿郎は目を大きくして固まる。
だが、すぐに眉をキリッとさせると強い色の声を出した。
杏「それならもう揺るぎようがない。俺は只ひたすら桜を死なせないように尽力しよう。」
そのやり取りを聞いて桜はもやもやとした気持ちを抱いて眉尻を下げた。
「私は……!」
桜の固い声にユキと杏寿郎が桜に視線を移す。
それを見つめ返すと桜は二人を交互に真っ直ぐな瞳で見つめ返した。
「私は、力を持っている以上、協力しない気は元からありません。この使命に強制力がなくても、ううん、使命がなかったとしても、……求められてすらいなくとも…、」
桜は強い気持ちを伝えようとグッと眉を寄せる。
「力があるのなら、何がなんでも自ら前線へ行こうとする意志があります。」
桜がそう強い意志を伝えると、杏寿郎は桜の時折見せる頑固さを自身が失念していた事に気が付いた。
そして張っていた気を思わず緩ませて笑う。