第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
「あ!!杏寿郎さん!!!」
満面の笑みを浮かべる桜が茂雄と隆史の手にその小さな手を重ねているのを見ると杏寿郎は笑みを浮かべたまま額に青筋を浮かべる。
一方、それを見た二人の目には再び絶望の色が浮かんだ。
杏「………何をしている。」
隊服に炎柱の羽織りを纏って迫力が増した杏寿郎は、明らかに何かをしていた側の桜ではなく されていた側の茂雄と隆史に大きな目を向けてゆっくりと部屋に入る。
二人はその笑みを直視できずバッと俯くと汗を流し始めた。
隆(理不尽にも程があるだろ…!)
茂「や……や、やましい事は何もし、」
「杏寿郎さん!聞いてください!!」
酷く興奮した様子の桜は異様な空気と茂雄の声に気が付かず、明るい声を出して杏寿郎の元へ走り寄った。
「この二人の隊士さん、怖くなかったです!!それに触ることが出来ました!この体でも鬼殺隊に協力出来そうです…!!」
その嬉しそうな声を聞くと、杏寿郎は二人を忘れて目を大きくさせる。
しかしすぐに心配そうに眉尻を下げた。