第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
「ふふ、確かに杏寿郎さんの眼力ってとても強くてたまに生命の危機を感じる程ぞくってしますよね。」
その脳天気な声色を聞いて、桜があの冷たい目を知らない事を悟り 二人は諦めたような遠い目をする。
興奮している桜はその様子に気付かず、二人をじっくり眺めた。
(若い…男の人…。まだ十代かな…。茂雄さんは少し小柄だけど眉が太くてしっかり者って雰囲気がすごく出てる…。隆史さんは…逆に体がおっきくてがっしりしてる…でも、怖くない。それに抜けてるのかな…ちょっと面白い人だな…。)
そうして魂が抜けたようになっている二人を眺めていると、桜は大事な事を思い出してハッとする。
そして、真剣な顔で二人の方へ少し身を乗り出した。
「あ、あの!手、触ってみてもいいですか……?」
それを聞いて茂雄は固まり、隆史は思わず後ずさりをする。
ユキはただ桜を見て軽く首を傾げた。
ユ『何をする気なんだ?』
「この姿のまま鬼殺隊に協力する事になるかもしれないから…。体に触ることが出来なかったら意味がないでしょう…?大丈夫かを確かめたいの。」
それを聞いて納得すると、ユキが軽く頭を下げる。
その姿に二人は更に青くなった。