第24章 不思議な縁と晩酌
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いつまでも乾杯の音頭をとらない槇寿郎に桜はそっと声を掛ける。
「……槇寿郎さん、お願いしても良いですか?」
すると槇寿郎は眉を顰めてから観念したように座り直し、スッと小さく息を吸った。
槇「…………二人の…幸せを、願って…、」
その言葉に杏寿郎と桜はパッと目を輝かせた。
「「「……乾杯。」」」
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杏「酒は初めて飲むが結構美味いものなんだな。」
そう満足そうに言う杏寿郎を桜はパッと振り返る。
「これは良いお酒ですからね!舌肥やし過ぎちゃだめですよ!」
そう言うと槇寿郎はからかうような声を出した。
槇「安い酒を飲まなきゃいい話だ。」
その言葉に桜はむっとした顔をする。
「付き合いとかがありますもん!他の人と飲みに行って、美味しくないお酒をオススメだって勧められたとして…杏寿郎さんがお世辞で美味しいって言えると思いますか?」
それを聞くと槇寿郎は納得したような顔をしてから目を細めた。
槇「言えないな。」
そのやり取りを聞いて杏寿郎は心外そうな顔をする。