第4章 協力者
だが、少し俯いていた千寿郎がすぐにその沈黙を破った。
千「…物心付く前に母上は亡くなられ、この家には姉も妹もいません。それにずっと家の事をやってきたので、僕は女性への接し方があまり分からないんです。」
「そう、だったんだ……。」
(そっか。見ないと思ったら、お母さんは亡くなってしまっていたんだ…。)
桜は繊細な話に触れてしまい、思わず目を伏せる。
千「……なので、正直桜さんといる時たまにどうして良いのか分からなくなる時があります。その……失礼な態度も取ってしまったり……、」
千「だから少しずつなら……大丈夫かと…。それでも良いでしょうか……、」
千寿郎は耳まで真っ赤に染め、決意したように目をぎゅーっと瞑った。
千「…あ………姉、上。」
その様子があまりにも可愛らしく、桜は固まって動けなくなってしまう。
一方、それに気付かない千寿郎は赤い顔のまま慌てて桜の腕の中から脱出し、
千「お茶を淹れてきますね!」
と言ってパタパタと走っていった。