第20章 ※一人で
杏「男は欲情すると少し心が荒々しくなるみたいだ。だが決して襲ったりはしない。安心してくれ。」
それを聞いて桜は安心したようにふわっとした笑みを浮かべた。
杏寿郎はその笑顔を見て余計に余裕が失くなったのを感じた。
目の前の想いを寄せる女性が、欲情している自分の前で無防備に笑っている。
今自分がどんな事を考えているのか、想像も出来ていない彼女に教えてしまいたくなる。
杏「………桜。自慰の仕方、知りたくはないか。」
気が付くとそう口が動いていた。
桜は薄く口を開いたまま固まった。
「…でも、男女で体が違うので…杏寿郎さんの方法と私の方法は違うんじゃ……。」
杏「ああ。違うな。」
そう言うと杏寿郎はまた体を起こし、ちり紙を取りに行った。
(…どういう心境の変化なんだろう………。)
桜は男の自慰と女の自慰が似ている可能性もあると思ったので興味はあったが流石に戸惑っていた。
杏寿郎は戻ってくると桜に掛かっていた布団を剥ぐ。
「わっ!!…びっくりしました…どうしたんですか…?」