第95章 続々と
(相変わらず格好いいなあ。杏寿郎さんは歳を重ねるごとに格好よくなるタイプなのかな。……あれ…でも20歳の頃からずっとすっごく格好いい…。単純に格好いいの "種類" が変わっているのかな。じゃあ、)
杏「桜?どうした。」
「……あっ」
桜は気が付いたら難しい顔をしながら もにゅもにゅと杏寿郎の頬を揉んでいた。
そして気付いてすぐに慌てながらパッと手を離すと紛らわすように笑う。
「ま、マッサージ…です。」
どもりながら言う様子を見て杏寿郎は嬉しそうな顔をずいっと近付けた。
杏「嘘だな。何を考えていた。何故隠そうとした。顔を赤くさせるという事は俺にとっては好ましい事の確率が高いな。」
「その刺激はお腹に悪いので許して下さい…。」
消え入りそうな声を出しながら桜は燃える瞳から逃れ、杏寿郎の胸に顔を埋めて表情を隠す。
いつまでも恥じらう性分が消えそうにない桜を見て杏寿郎は微笑みながら目を細めた。
杏「君はいつまで経っても新婚の嫁のようだな。」
いつだか自身が杏寿郎相手に思った事を言われ、桜は思わず顔を上げる。