第95章 続々と
杏「……3個上に落ち着いたしっかり者の厚寿郎がいる。慶寿郎と悠寿郎ももう6歳だろう。大丈夫だ、守ってくれる。」
そう自身に言い聞かせるように言う杏寿郎の目の前で璃火はずっとにこにことしている。
「笑顔は100点なんですけどね…。」
杏「ああ、愛らしい。愛らしいが…、」
困った様に眉尻を下げている杏寿郎が頭を撫でてやると璃火は ふにゃーっと無防備に笑った。
杏「…………駄目だ。やはり駄目だ。自覚が足らなかった頃の君と瓜ふたつだぞ。やはりこの子は女子幼稚園に入れよう。小中高もだ。大学は選ばせてやりたいが女子大が良いだろう。この子は彩火のように男をあしらえない。」
(杏寿郎さん…まるで私のお父さんみたい……。)
事実、勇之も幼い桜を見て同じ事を言っていた。
だが幼稚園は女子幼稚園に入れさせたものの、桜の強い興味と希望、そして由梨の援護により小学校からは共学へと進んだのだ。
(璃火がきちんと意見を言ったら応援してあげよう。私も不安だしとりあえず幼稚園は杏寿郎さんの言った通りに…、)
「…そうですね。幼稚園はそうしましょう。最近の子は幼稚園生でもすぐキスしちゃうみたいですし、恋人も作ったり、」
杏「彩火は。」
久しぶりに聞いた杏寿郎の低く唸るような声に桜はビクッと体を揺らす。
そして急いでふりふりと首を横に振った。