第95章 続々と
「……子供が見ていない隙にと言った筈ですよ。」
杏「それについては承諾していない。」
桜に許可を貰ってから杏寿郎は開き直ったように桜にくっついて回るようになった。
それはただのカルガモ状態ではなく、文字通り "くっついて" 回っている。
そして今は瑠火に昼飯を作ってもらっている中、子供達を見守る桜を胡座の中に収めて優しく腹を撫でている真っ最中であった。
「では…子供達の様子を見てあげて下さい。」
杏「……むぅ。」
流石に子供の面倒を頼まれれば断る訳にいかず、杏寿郎は桜を丁重に座布団に座らせて名残惜しそうな声を出しながらも遊んでいる三つ子の元へ歩み寄って行く。
それを見送ると桜は ほっとした様に小さく息をついたが、胸の内では喜んでいる自分が居ることを自覚していた。
(杏寿郎さんはいつまでも新婚の旦那さんみたいでいてくれるんだな…。もう5人目の子供が出来ているのに……。)
そう思いながら慈しむように腹を撫でる。
桜は今までの子と違ってなかなか胎動を感じられず不安に思っていたが、7ヶ月になって漸く璃火は ぽすっと優しく桜の腹を蹴った。