第95章 続々と
彩火は女の子であった為に皆からとても可愛がられていたが 本人はとてもクールなように見えた。
しかし杏寿郎と桜は彩火が周りに見せないように気を付けているだけで未だにドジである事を知っている。
(彩火は将来ギャップのある子として人気が出そうだなあ…。)
顔は桜より大分凛としていたが華がある事には変わりなく 幼稚園でも男の子にモテモテであるのだと先生から教えられた。
モテモテと言えば慶寿郎と悠寿郎もそうであったが、2人は女の子に興味を示さない。
それは彩火の顔の良さに目が慣れていた事とマザコン気味であった事が原因だったのだが、2人は父親がそれをよく思っていない事を知っていた為に周りの人間全てに隠していた。
1歳になった厚寿郎は顔の造り通り やはり非常に穏やかで優しい子に育つのだろうと想像させるような雰囲気を纏っている。
特に鈍臭いという感じではなかったが、激しく動くことが一切無かったのだ。
「ふふ、厚寿郎は私に似ましたね。」
桜が何故かしたり顔をすると杏寿郎は少し首を傾げる。
杏「確かに俺は元気が有り余る子供だったようだが厚寿郎は君と違ってそそっかしくないぞ。」
その悪意無き言葉を聞くと、桜は自身のしたり顔が恥ずかしくなり 眉を寄せて赤くなりながら杏寿郎の胸に顔を埋めて表情を隠した。
杏寿郎はその表情の変化で桜の心の動きを察すると微笑ましそうに目を細めながら頭を撫でる。