第15章 兄弟の想いが詰まった晩酌
「…そうですねえ……、槇寿郎さんはお酒に強いですね…。」
そう言いながら桜はゆっくり立つ。
槇寿郎は心配になり手を伸ばそうとしたが、自分の限界を分かってセーブしながら飲んでいた為 桜の足取りは然程ふらついていなかった。
「じゃあ……、」
そう言って桜はにこりと笑うと杏寿郎が買った酒瓶をパッと取った。
「これは私と飲むとき限定です!」
槇「酔っ払いのくせにちゃっかりしてやがる…。」
「あはは!油断は禁物ですよ。ではでは、遅くまでお付き合い頂いてありがとうございました!」
そういうと、三つの皿を重ねたお盆に酒とおちょこを乗せて部屋を出る。
桜は襖を閉める前に ふわっと微笑んで、
「槇寿郎さん、おやすみなさい。いい夢を。」
と言った。
槇寿郎は横を向きながら、"ああ" と短く答えた。
廊下を歩きながら桜はほわほわとした気持ちで、早く杏寿郎と千寿郎に報告したいと思っていた。
(でも結構遅くなっちゃったし、千寿郎くんは寝ちゃったよね…杏寿郎さんが帰る前に…人の姿でいられるうちに食器を片しておかないと…。)