第15章 兄弟の想いが詰まった晩酌
そう言って目を閉じ、スッと力を抜く桜。
千「…えっ!…それは、ちょっと……、」
千寿郎がわたわたしていると、ちょっと不満そうに眉を寄せて片目を開く。
千「…っ……失礼、します…。」
千寿郎はおそるおそる手を回すと、目を瞑ってぎゅっと抱きしめた。
するとガラッと世界が変わったような気分になる。
千「………え…?」
目の前には先程と同じく目を閉じている桜。
変わっていないはずなのに、世界が違う。
感じる幸福感や満たされる感覚は異次元で、まるで…、
千「…………ゆ、め?」
その言葉に桜は目を開く。
途端に先程までの強烈な違和感は消え、穏やかな心地よさが戻ってきた。