第78章 江ノ島観光
「いよいよですね!わあ、階段何段あるんだろう…。」
メイン通り、弁財天仲見世通りの坂道を登り切った先の朱い鳥居の前で桜は階段を見上げながら息をつく。
杏寿郎はその横で眩い笑顔を浮かべながら桜を見下ろした。
杏「260段ある!なので君はエスカーだ!!」
「エスカー!聞いたことあります!!」
モノレールのような物を想像した桜は目を輝かせる。
そんな桜の手を握り直すと杏寿郎はエスカーの看板のある方へ歩いていった。
「……まさかエスカレーターだったとは…………!」
桜の呆然とした声に杏寿郎は笑い声を上げる。
杏「確かに事前に知らなければ意外に思うかもしれないな!!260段となると足で登ればおよそ20分も掛かるそうだ。だがこれならば君の体も耐えられるだろう!」
「まさかとは思いますが エスカレーターに立つのも私にとっては大変だと思ってますか?」
杏「………………………………。」
杏寿郎は朝に部員と走っている桜を思い出しながらも桜の華奢な体を見つめて黙り込んでしまった。
「平気に決まってます!即答してください!」
桜は杏寿郎の過保護ぶりに驚きながらも いつまでも変わらないその態度がどこか嬉しく、少し笑みを溢しながら注意をした。