第2章 大切な記憶
そう思いながらも、ずっと立ち止まってる訳にもいかず ビクビクしながらまた歩き始める。
―――ばしゃっ
「……………。」
(また…魚にしては派手な音じゃ……。まさか……っ)
嫌な想像をしてしまい、慌てて橋の手すりまで走る。
「うそ……っ!!!」
ほとんど真下にぐったりとした男の子が浮かんでいる。
その子の服を咥えながら小柄な犬が水音を立てていた。
犬はなんとか岸に上がろうと奮闘していたが、自分より大きな子どもを引っ張る馬力はなく、自身も川の中へ沈みそうになっている。
この橋の下は背丈の高い草が伸びたい放題になっていて、小さな子どもが入ると視界が悪くなる場所だった。
少し前にも川辺でかくれんぼをしていた子供が足を滑らせて溺れる事件が起こっていた。
コンクリートで地面を固める話は決まっていたものの、その日にちはあと少し先だった。