第63章 久しぶりで初めてのデート
杏「それは初耳だ!!だが仲良くなって頂いてとても嬉しく思う!将来は家族になるのだからな!!」
「………………あ、の…、」
桜は何と答えたら良いのか分からず赤面して俯いた。
その様子に杏寿郎は笑う。
杏「すまない、気が早かったか!ゆっくりで構わない!!俺を知っていってくれ!!」
そう言われると桜は幸せそうに微笑んだ。
「私も…あなたの事をもっと知りたいです。」
―――
「わ……古風でとても立派なお家…いえ、お屋敷ですね……!!」
杏「ここらは陸軍の施設があったので空襲の被害に遭ってしまったのだが、……わざと以前の家に似せた家を建てた。」
(……まるで立ち会ったみたいな言い方だな…。あの写真、100年前のものだった。あの杏寿郎さんにそっくりな人は戦争を経験してる。……もしかして…、杏寿郎さんはお母さんが言う通り本当にあの人の生まれ変わりなんじゃ…、)
「あの…、」
杏「着いたぞ!!心の準備は出来たか?」
「えっ、わわ!ちょっと待ってください…っ!!」
桜は考えていた事を忘れると慌てて手土産を持ち、シートベルトをカチャカチャと鳴らす。
その間に車を下りて助手席に回ってきた杏寿郎は眉尻を下げて笑いながらそれを手早く外してやった。