第63章 久しぶりで初めてのデート
杏「女性を誘うには不向きな場だっただろうか。それならすまない。デートは初めてなんだ。」
早「……え?」
「あはは、わたしもですー。」
杏「うむ!知っているぞ!!2人で知っていこう!!では親戚で同じ部活の "お世話好き" なお姉さん!桜をお借りします!!きちんと健全な時間に送り届けるので安心して下さい!!!」
そう言いながら杏寿郎は自身の連絡先を書いたメモを手渡す。
「さなちゃん、行ってくるね!」
早「……うん、楽しんでおいで!!桜をお願いします!!」
早苗の顔には最初の形相とは真逆の笑顔が浮かんでいた。
杏寿郎はマンションの下まで降り車に寄ると鍵を解除し、当たり前のように助手席のドアを開く。
桜はその些細な行動にさえ頬を染めた。
杏寿郎は自身も車に乗り込むとシートベルトをしながら喜びを噛みしめるような声を出す。
杏「本当に君の年上で良かった。堪らないな、その反応は。」
「…えっ………あ、何か顔に出ていましたか…?」
杏「ああ、初めての時もそうだったが俺がドアを開けて助手席に乗せる度に顔を赤くしている。それなのに君は自身で開けると言い張らない、これは年上の特権だろう?」
そう言いながら杏寿郎が優しく微笑むと桜は顔を真っ赤にさせた。
それを見て杏寿郎は車を出しながら笑う。