第11章 夢の中の人
杏「桜?どうした?」
「ふぁいっ!!」
突然声が降ってきて、完全に自分の世界に入ってた桜は変な声を上げてしまった。
「きょ、杏寿郎さん…起きてたんですね……。」
驚く桜の頭を杏寿郎は優しく撫でる。
杏「すまない、驚かせてしまった。俯いてからあまりに長いので気になった。」
そう言う杏寿郎は眉尻を上げても下げてもおらず、笑ってもいなかった。
「いえ!ありがとうございます!でも大した事はないので。」
桜は努めて明るい声を出した。
本心だった。
しかし杏寿郎はその声色に撫でる手を止めた。
杏「今日ここに来たばかりだ。色々と不安があるだろう。なにも一日中気を張る必要はない、何かあるならここで吐くといい。」