第56章 戦いを終えて
(私は別に構わないけれど、そんな物がお返しだなんて釣り合わない…。歩いている時に杏寿郎くんの様子を見て欲しそうな物を見つけよう。)
「髪は別にいいよ。変態とも思わない。中に閉じ込めてお守りを作る?それとも巾着を作って縛った髪を中に入れる?」
杏「巾着で頼みたい!!!」
「…………うん、分かった。」
杏寿郎の勢いに驚きつつも桜は頷き 何か欲しそうな物は無いかと探り始めた。
しかしちらちらと確認する度に杏寿郎は男か桜を見ている。
正確には睨んだり微笑みかけたりしている。
(困った…何が欲しいのか分からない……。)
「杏寿郎さん、男の人を睨まなくていいから買い物を楽しもう。見て楽しそうなものはない?」
杏「君が楽しそうであれば俺も心底楽しいぞ!!」
(それは…すっごく素敵な返しだけど……、)
桜は眉尻を下げて困り果てると男が多そうな店を探した。
(あそこ…男の人も女の人も賑わってる。)
「ンテカッザ……雑貨店さんかあ。杏寿郎くん、あそこ行ってみたいです。」
杏「何か物入りなのか?ああいった店にある物は一通り揃えたろう。」
「ちょっと見てみたくて…。」
桜が居心地悪そうにもじもじとすると、杏寿郎はすぐに握っていた手に少し力を込めて安心させるように微笑んだ。