第56章 戦いを終えて
柔らかい髪が頬に当たってお日様のような香りに包まれると桜の心は満たされていった。
「いい匂い…。」
杏「君は本当に俺の匂いが好きなのだな。少しこそばゆいが気に入ってもらえて嬉しい。好きなだけ嗅いでくれ。」
油断して失言をした桜は再び赤面した。
「聞かなかったことにして。これ、おかしいんでしょう?恥ずかしい。」
杏「人に訊いてみたことがないので分からないが変態じみているようには感じるな。だが前にも言ったが俺も好きだぞ。」
杏寿郎はそう言って愉快そうに笑ったが『変態じみている』と言われた桜は当然笑えない。
(………私も宇髄さんに相談してみようかな…。)
桜は真面目な顔をして決意をするように頷くとパッと切り替えた。
それから二人は暫くくっついたまま話をし、纏う空気は和やかなものとなっていった。
そして十分に話をした後、二人は手を繋いで宮本夫妻の元へ挨拶をしに向かった。
健「またいつでも気軽に来て良いからね。待ってるよ。」
み「槇寿郎さんや千くんにもよろしく伝えてね。」
杏「はい!父も最近すっかり元気を取り戻されたので一緒に伺います!!」
それに二人共目を大きくした。