第55章 遊郭に巣食う鬼
耳が千切れかけ、女の子が泣いて謝っても蕨姫は離さない。
―――ガッ
その腕を善逸が掴んだ。
善「手、離してください…!!」
その瞬間、善逸の体が吹っ飛ぶ。
蕨姫に殴られたのだ。
蕨(あのガキ、この感触からすると軽症だね。失神はしているけれども受け身を取りやがった、一般人じゃない。鬼殺隊なんだろう。でも柱のような実力は無い。)
蕨姫は部屋に戻ると愉快そうな笑い声を上げる。
蕨「どんどんいらっしゃい、皆殺して喰ってあげる。」
―――
夜が明け、定期連絡の為に炭治郎と伊之助は建物の屋根の上で善逸と天元を待っていた。
自身が感じた鬼について伊之助が感覚的に炭治郎に伝えていた時、音も無く天元が現れる。
天「善逸が行方知れずになった。お前たちには悪いことをしたと思っている。もう花街から出ろ。階級が低すぎる。相手が上弦だった場合対処できない。」
炭「宇髄さん、俺達は…!!」
天「恥じるな。生きてる奴が勝ちなんだ。機会を見誤るんじゃない。」
天元はそう言うと炭治郎達の返事を聞かずにその場を去った。
しかし、二人共遊郭を出ようとはせず 天元の嫁三人も善逸も生きていると信じて行動することに決めたのだった。