第55章 遊郭に巣食う鬼
その事から鬼が天井裏に逃げたのだと気付くとまきをのうどんの器を引っ掴み天井へ思い切り投げつけた。
伊「おいコラ!バレてんぞ!!」
―――ゴンッ パキンッッ
器が割れると共に今度はドタバタと逃げ回るような音が響く。
伊「逃さねぇぞ!!」
伊之助は音を追い掛けていったが運悪く客と衝突し、更に服を着ていて気配を探りづらかった事もあり 結局鬼を逃してしまった。
伊「見失ったァァ、クソッタレぇぇ!!邪魔が入ったせいだ…!!」
―――
善(なんか俺自分を見失ってた……。)
京極屋にタダ同然で売られた善逸は天元に酷く扱われた事から暫くの間 三味線に精を出して花魁を目指していたが、我に返ると耳を澄ませて宇髄の三人目の嫁、 "雛鶴" についての情報を集めようとした。
―――ひっく ひっく ぐすん…
二日前に死人が出たからか京極屋の皆の雰囲気は暗く 口も重かった為なかなか情報収集は捗らなかったが、その中に女の子の泣き声がある事に気が付くと善逸の顔付きが変わる。
善「一大事だ、女の子が泣いてる。」