第55章 遊郭に巣食う鬼
炭(須磨さんがいなくなった後に見つかった『足抜けする』と書いた日記…恐らく偽装だ。どうか無事でいてほしい…。必ず助け出すから、須磨さん…!!)
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その頃、荻本屋に売られた伊之助は 天元に『お前は声が太いから喋るなよ』と言われていた為、聞き込みを出来ずに聞き耳を立てて回っていた。
伊( "まきを"!宇髄の嫁だ、やっと名前を聞けたぜ。)
具合いが悪いと噂されていたが、それだけで定期連絡が途絶えるのは不自然だと思い 伊之助はまきをの部屋へ向かう。
その時、まきをは鬼に襲われている最中であった。
天元への密偵の報告書を鬼に見つけられてしまったからだ。
まきをの体を縛るのは無数の帯で 至る所から血が出ている。
伊之助は部屋を外から見て嫌な気配を感じ、突撃すべきか一度迷ったが ダッと走り寄ると勢い良く襖を開けた。
するとその部屋は壁も畳も傷だらけで窓も開いていないのに風が吹いている。