第10章 お見送りとお父さん
そして桜が川で溺れ死ぬ直前、ユキはかつて自身を罰した大神さまに桜を救ってくれと懇願した。
大神さまは初め、興味も示さなかった。
だが、桜が"恩恵の力"を使える事を知り、桜に利用価値がある事を認めた。
そして桜に救済の使命を与える代わりに特別に川から救ってやったのだ。
幸い桜は迷わず使命を受け入れたが、受け入れなかったのなら 使命を全うする為だけに許された体は 今頃呆気なく冷たい川の中へ戻されてしまっていただろう。
また、ユキの不安定で不自然な存在を消そうともしたが、桜とユキが共依存していることを見抜くと、桜を手助けする事を条件に見逃した。
しかし、その役目を大神さまに任されたが故に、ユキは桜に強く干渉できるようになる。
それは、ユキが桜を真に心配した上で "手助けに必要だ" と感じた事は実現できるという、強い干渉力だった。
今までにやった事を挙げると、服や姿の操作、記憶の抹消、改竄等だ。