第10章 お見送りとお父さん
"神の亜種"とはいえ、力は劣るがその性質は神に似ていた。
"神の亜種"に生まれ変わった際にも神と同様に、新しい"恩恵の力"をちゃんと授かったのだ。
"恩恵の力"とは、
神の時でいうと、神を"信仰"する信者へ使える"癒やしの力"の事だ。
亜種になった際に与えられた"恩恵の力"は、自分に"愛"情を持つ者へ使える、"幸福感を与える力"だった。
"友達"という対等な絆で結ばれたユキと桜は、この二つの力を共用している。
そして、たまに桜は無意識下で人と触れる際に"幸福感の力"を使っている。
"幸福感の力"は、亜種になる際にユキが
(桜に幸せになってほしい)
と願った事に影響を受け、生まれた。
神の"恩恵の力"は本来、信仰が途絶えた際に神と共に消滅する。
だが、ユキの場合は中途半端ではあったが存在し続けた為 "癒やしの力"は消えず、元宿主のユキを追って最終的に桜の胸に入った。
これはユキの予想通りであった。